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PUREfrex鋳型DNAについて

PUREfrex®でタンパク質を合成する際、鋳型DNAは、目的のタンパク質に合わせてお客様の方でご用意頂きます。

鋳型DNAには、目的タンパク質をコードする遺伝子の上流に、T7プロモーター配列および、リボソーム結合部位(SD配列)が必要です(図4)。


  • 3種類の終止コドンはすべて使用できます。
  • 終止コドンの下流には、10塩基以上の塩基配列を付加してください。
  • 環状DNAおよび直鎖DNA(PCR産物、環状DNAを制限酵素処理したDNAなどが含まれます)のどちらも使用できます。
  • 環状DNAを使用する場合は、目的遺伝子の下流にT7ターミネーターが必要です。
  • 直鎖DNAを使用する場合は、終止コドンの下流にT7ターミネーターの付加は必ずしも必要ではありません。

図4. PUREfrexでのタンパク質合成に用いる鋳型DNAの構造




A1 反応液へのDNA添加量について

プラスミドやPCR産物に関わらず、DNAは、1kbpあたり0.5-3 ng/μLになるように添加ください。
PUREfrex反応液に添加するDNAは、分子数(モル濃度)が基準となっているため、例えば、反応液に添加するDNAがプラスミド(環状DNA)で、その長さが6kbpの場合、実際のORFの長さに関係なく、(0.5~3)x6=3~18ng/μLとなります。
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A2 PCR反応液を直接添加する際の注意点

PCR 反応液からの持ち込みを抑えるため、添加量は、PUREfrex®の反応液量の1/10 以下にすることをおすすめします。
添加量の目安は、PCR で目的のDNA がきちんと増幅されていれば、DNA 量としては十分です。
転写・翻訳反応とも、PCR 反応液からの持ち込みによる塩濃度など、バックグランドの変化によって、活性が大きく影響されます。
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A3 PCRによる鋳型DNAの調製例

2段階PCRによるPUREfrex®の鋳型DNAの調製方法の例を図5に示しています。
PCR 後、目的産物以外にバンドが見られる場合は、PCR 条件を変更するなどして副産物の生成を抑えてください。どうしても、副産物が生じる場合は、目的産物を切り出し、精製してご使用ください。
副産物からもタンパク質が合成されることがあり、PCR で得られるバンドの純度がPUREfrex®で合成されるタンパク質の純度へも影響します。

図4. PUREfrexでのタンパク質合成に用いる鋳型DNAの構造
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A4 PCRで使用するプライマーの配列例

使用するプライマーの配列につきましては表2に示しています。合わせて、塩基配列のテキスト情報もご利用ください。

表2. 鋳型DNAを調整するPCRで用いるプライマー

A5 PCR産物の純度について

タンパク質の合成反応にPCR 産物量が不足している場合は、PCR 反応液量を増やすことは避け、ゲルから切り出すなどして、十分な濃度のDNA 溶液を調製してください。PCR で目的のDNA が十分量増えない場合は、PCR 反応液内には、様々なDNA 種が存在しており、このようなPCR 反応液を直接使用すると目的のタンパク質合成量が減少してしまいます。

また、ゲルから切り出す際には、紫外線によるDNA への損傷を防ぐために、UVライトは照射しないでください。
ブルーライトは可能ですが、できるだけ照射時間は短くしてください。
UV照射はDNA への損傷の原因となり、翻訳が途中で止まってしまう等の現象が起きてしまいます。


A6 鋳型DNAとして使用できるプラスミドベクターについて

プラスミドは、T7promoter、SD配列、T7terminaterを含むベクターをご使用ください。
例えば、pET系(Novagen社)、pQE系(Qiagen社)等がございます。
但し、lac operator配列が存在しておりますと、翻訳量が減少することがありますので、lac operator配列を含まないベクター(pET17など)をお薦めいたします。


A7 プラスミドの調製についての注意点

プラスミドDNAを調製される際は、最終精製物にRNaseが残っていないかご注意頂く必要があります。

例えば、Qiagen社のQIAprep Spin Miniprep Kitや、Promega社のWizardのようなフィルタータイプのmini prep kitをご使用されますと、Lysis bufferに含まれるRNaseが、最終精製DNAにも混入してしまい、タンパク質の合成が阻害されてしまいます。

このタイプのキットをご使用の場合、精製したDNAを、Phenol/Chloroform処理後、エタノール沈殿して再度精製頂くことで、RNaseが除去されます。あるいは、RNase inhibitorを添加しても、合成できるようになります。

また、DNAを溶解する際に、TEなどを用いてしまいますと、EDTAが翻訳反応を阻害してしまいますのでご注意ください。

ご参考までに、Qiagen社のPlasmid Mini Kitは、Resinに結合したDNAを溶出した後にisopropanolで沈殿させているため、RNaseAが除去できており、このキットで精製したプラスミドが使用できることは弊社にて確認しております。


A8 転写開始と5'UTRについて

転写は、T7 promoter配列直後のGGGから開始するため、このGGGは必須となります。
T7 promoter配列直後のgggagaccacaacggtttcccはステムループが形成され、翻訳効率を高めると言われていますが、タンパク質により効果は異なります。
翻訳には、リボソーム結合部位が必須ですが、一般的に5'UTRの配列は、翻訳反応に影響を及ぼすといわれており、配列を変更する際は注意が必要となります。参考となる論文がございますので、以下ご参照ください。

S. Takahashi et. al. (2013) J. Am. Chem. Soc., vol.135. p.13096 " Translation Enhancer Improves the Ribosome Liberation from Translation Initiation"



A9 mRNAスタートの場合

mRNAからタンパク質を合成する場合、mRNAの添加濃度の目安は、0.1-0.5 µMになります。
ご使用になられるmRNAの配列や純度等により、最適値は異なってきますので、 はじめに、上記の濃度を参考に最適添加濃度を決める反応をされることをおすすめ致します。



A10 鋳型DNA配列とタンパク質合成量について

タンパク質をコードする配列の5'末端側にサイレント変異を導入し、AT 含量が高くなるように鋳型DNAを設計すると合成量が高くなるという結果が得られています。タンパク質により効果は異なりますが、こちらの実験結果をご覧ください。



A11 複数鋳型混在下でのタンパク質合成について

異なるタンパク質をコードする複数の鋳型をひとつのチューブで合成することが可能です。
鋳型により、合成されるタンパク質の量が異なる場合には、添加する鋳型の量比を調整することで、タンパク質の合成量も調整可能である実験結果が得られています。Fabの軽鎖 (LC) と重鎖 (HC)を同時に合成した、こちらの実験結果をご覧ください